1976年 RG500mk1
この車輌は、バリーシーンの優勝マシンで
市販模型の原型にもなっているほど有名である…。
しかし、私はそれが信じられない。
なぜなら、この車輌をXR14と呼ぶならば
世の中にRG500mk1という車輌が存在しなくなるからだ。
要するに…
この車輌には、XR14足り得る根拠が何もないのである。
RG500mk1は、発売と同時に70台を海外で売り上げたとされ
世界中のプライベータたちに絶大な支持を得た車輌なのである。
今日においても、現存する車輌の売買は珍しくない。
そんな中で、どうしてこの車輌だけが、XR14と賛美されるのか?
確かに、RG500mk1を覗き込むと驚かされる。
ほぼ全ての部品に、XR14の文字が刻まれているからだ。
これは、ワークスマシンではないか!?
誰しもが、そう思ってしまうだろう。
しかしそれは、当時のメーカーが、惜し気もなくプライベータのために
完璧なワークスマシンを提供しようとした証なのである。
そんな意味では、XR14もRG500mk1も、大差がないと言える。
いや、むしろ機能部品としての大きな違いはないのだろう。
しかし、ワークスマシンという存在は、絶対なる存在であり
レストアされた存在では、まったく意味を果たさないのである。
実戦を戦ったワークスマシンには、必ず、その痕跡が残る。
熾烈を尽くして戦ったマシンには、必ず、その匂いが残る。
この美しい車輌には、それが感じられないのである。
だから私は…
この素晴らしい車輌が、RG500mk1であって欲しいと切に願うのである。
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