SUZUKI RGB500U Development Project

RGB500mk8

ある日のことじゃった!
わしは、愛犬モモの吠える通りに、裏山の木陰を掘ってみた。
すると、どうじゃろう…
土の中から、RGB500U(mk8)のエンジンが出て来たではないか!
わしは、思わず飛び跳ねて喜んだ…!





…んな訳が、あるはずがない!

RGB500mk8

だが、見よ!
私は、ついに念願のエンジンコンプを手に入れたのである。
2号機の喜ぶ顔が目に浮かぶ…
さっそく、載せてあげよう!

しかし…
私一人で、エンジンをフレームに載せることなど、出来るのだろうか?
我が家にはクレーンがない!
途中まで組んだ車両を、またバラすか?

私は、数日間、悩むことになった。
明日こそは…と、決意しながらも
逸る気持ちとは裏腹に、空しく時間だけが過ぎて行ったのである。

RGB500mk8

よっこらしょ、うんとこしょ…
う〜ん、どっこいしょっ!
あ…! ガシャン、キィ〜ガリガリ…うぅぅ、うわぁ…マジで?
ぬおぉぉぉっ…ガッチャン!

こんな感じだった!
そして、エンジンは…
見事に、RGB500U(mk8)のフレームに収まったのである!

RGB500mk8

さすがに、シリンダーヘッドを載せたまま
マウントする技術は、私にはなかった。
しかし、なんとか搭載することに成功したのである。

RGB500mk8

シリンダーを元に戻して、例によってオイルマッサージをしてやった。
2号機のエンジンが独特のマグ色を取り戻し、元気な姿に甦った!
各部の状態、クランクなども綺麗で良好であった。

RGB500mk8

しかし、良く見るとマグネートカバーの下部が割れていた。
ここが割れている車両は多い。
ちょっとした転倒でも、一番最初に損傷を受ける場所でもあるからだろう。
このエンジンも例外なく割れていたので、新品に交換することにした。

RGB500mk8

ここでも新品の部品を惜し気もなく使うのである。
意外に思われるかも知れないが、ホース類はあまり流用が効かない部品である。
その取り回しに、太さや形状が少しでも違うと取り付けるのは難しい。

RGB500mk8

まさに適材適所である。
すべて純正部品で組み上げて行くだけで、本物の風格と機能美が生まれて来る。
そのバランスを阻害するような部品やカスタムはタブーなのだ。
RGB500U(mk8)とは、そんな硬派なマシンなのである。

RGB500mk8

ミクニVM38SS…XR45のマグネシウムキャブレターである。
純正では36SSを使っていたが、私的に一番好きな38SSを使った。
ラジエーターやチャンバーも取り付け、ほぼ完成である。

RGB500mk8

非常に状態の良いエンジンである。
スペアとして現存し、あまり使われていなかったようだ。
クラッチ板の減りも少なく、ギアの入りも良い。
市販車のRG400/500Γなどと比べると
そのミッションの質の高さ、感触の違いには驚かされる!
高額なレーサーなのだから、当たり前と言えば当たり前なのだが
その精度の違いには、ただただ脱帽するばかりである。
サクっ、サクっ、と軽く入るミッションは、まるで壊れる感じがしない。
ぜひとも試乗してみたいものである。

RGB500mk8

THE ローリングシャーシー RGB500U(mk8)の名は、今日でお別れだ。

1983年型 SUZUKI RGB500U(mk8)

これが、正式名称である。
思えば、最初の部品を手に入れてから苦節、十数年余りが経過した。
ひとつひとつは、小さな小さな、思い入れのある部品であった。
それを探し当てる歓び、磨き上げる喜び、そして、組み上げる悦びは
それを成し得た者にのみ与えられる至福の時間なのだ。

これまで、多大なるご協力を下さった皆様…
本当に、本当に、ありがとうございました!
とりわけ、Power Production 代表H氏には感謝の意を示したい。

そして、物語は大団円へ…
icon 私が憧れたワークス仕様のRGB500Uである。



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