ある晴れた日の正午、「彼」は我が家にやって来たのである!
厳重な木箱に梱包された「彼」は、丁重に荷台から降ろされた。
箱の中身は、いったい何であろうか!?
私は、はやる気持ちを抑えきれずに、一気に箱をこじ開けた…!
バールでこじ開けられた箱のフタには
私の名前と住所の他に「RGB500 10218」と書かれていた。
おおっ…! こ、これは!?
何とも言えぬ瞬間である…!
私は、ついに「彼」と対面したのである。
普通で考えれば、念願の車輌を手に入れて
感無量と言った感じではないだろうか?
この素晴らしい車輌を、ショールームにでも飾って
一件落着、めでたし、めでたし…の、はずである。
しかし、私にとって「彼」との出逢いは
夢の実現に向けて、すべての始まりであり
最初の一歩を踏み出したに過ぎないのである。
ただ、記念すべき、大きな一歩であることだけは素直に喜びたいと思う。
さっそく「彼」も、例外なく身包み剥がされることになった。
TZやRSなど、他社製レーサー部品で代用されていた部分
とにかく、RGB500またはXRなど、生粋のSUZUKI系部品以外は
すべて取り除かれることになった。
最後の最後まで悩んだ末に、外装一式も、新たな軍資金を捻出するために
「彼」の元を旅立って行ったのである。
適材適所あろうか、カヤバ製40mmの削りを挿してみる。
う〜む…
なんてカッコいいんだろう?
完璧ではないか!
私は「彼」のために、惜し気もなく
究極の部品を使ってあげようと決意したのである。
さて、そうなると、車輌の顔でもあるフロントフォークは
憧れの車輌と同じものを使いたくなる。
そこで私は、40mmの削りから、究極の41mmに換装する覚悟を決めたのである。
とはいうものの、フロントフォークを1mmサイズアップするだけで
ハンドルから、すべてを交換する必要があり、なかなか大変なのである。
塗り上がっていたタンクを乗せて雰囲気を楽しみながら作業を進めた。
フロント16インチ、リア18インチは、なぜかバランスが悪い。
やはり、ワークスと同じ、前後16インチで組むべきだろうか?
それとも、ダイマグがいけないのだろうか?
カンパの16インチに変更し、ハンドル回りも復活させてみる。
おお、雰囲気をかもし出し始めたぞ!
やっぱり、妥協は許されないのだ。
やるべきことは、すべてやらねばなるまい。
となると、キャリパーも、マグに変更するしかないか…!?
いよいよ、完成が近い。
理想の姿に近付いて行くにつれて、充実感と共に実感が湧いて来る。
その日は、本当に来るのだろうか?
やるべきことはやった!
エンジンとフレーム以外、殆どの部品をワークス部品に換装した。
それは、すべて夢を現実のものとするため
夢を、夢で終わらせないために…。
これまでの日々が、走馬灯のように頭の中を駆け巡る。
それは、「彼」と共に歩んで来た素晴らしい思い出である。
究極のRGB500V…
私が目指したXR45仕様のRGB500Vである。
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